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法人成りとは?

個人で賃貸経営を営んでいるとどうしても突き当たる経費と税金の壁。建築した当初は減価償却費などの経費があり、経費を引いたあとの税金も意外に安くてよかったものの、築年数が15年を超えてくると現金は少なくなっているのに税金は意外に高い。
そんな賃貸経営の次の一手がこの「法人成り」になります。ではその「法人成り」について説明をします。

01. 会社を作る

まずは会社を作ります。その会社は株式会社で構いません。現在は1円から作ることが可能です。
またその資金の出資者はその賃貸物件を相続する予定の相続人の方が望ましいです。これは今後の相続を円滑にするからです。その際に会社設立に伴い30万円ほどの設立費がかかります。

02. その会社に賃貸物件の建物のみを譲渡する

不動産には土地と建物がありますが、土地は金額も高く資産価値は下がりません。
建物は建築した時から減価償却に伴い、資産価値が下がります。できるだけ築年数が経って、資産価値が下がり、借入金もない物件が有効です。建物の譲渡については譲渡税がかかると思われがちですが、会社への譲渡は簿価といって減価償却残で譲渡する為、「売却価格―簿価=0円」となり譲渡税がかかりません。ただ登録免許税と不動産取得税がかかりますので注意が必要です。

03. 譲渡の費用は貸付か銀行から借りる

売却するということはそのお金をどこからかもってくる必要があります。ただ実際に設立した会社には資金がなく出せません。そこで新しく設立した会社にはいってくる家賃収入から譲渡費用を分割して差し引いて支払うといった形か、銀行から法人に貸し付けしてもらうといった方法があります。自分たちが話し合ってつくった会社ですので金利もある程度、低金利で設定できる会社への貸付がいいかと思います。

04. 土地の所有者として地代をもらう

建物を売った賃貸経営をされている所有者は、家賃は会社に入ってきますので収入がありません。そこで会社からある程度の地代をもらうことによって一定の収益を得ることができます。目安としては固定資産税の6倍と言われております。

05. 新しく作った会社の社長等に相続人を指名し給料をはらう

そのまま新しく作った会社の社長に所有者の方がなってもいいのですが、設立の目的が節税だった場合、会社から給料をもらっては意味がありません。通常は相続人である子供たちが社長や専務となり給与をもらうことになります。それによって1人あたり最低でも65万円の給与所得控除を受けることができますので、役員が多いほど経費が増えます。

これは青色申告特別控除を全員使えるイメージになります。

06. 会社がつかえる経費を活用する

車両費や生命保険など使える経費が広がります。そういった経費を上手に活用してください。ただ会社になると社会保険に加入する必要がありますので、その経費も考える必要があります。

07. 会社の収入はなるべく0に近づける

会社に家賃が入り、経費をだし、地代を支払い、残った額についてはできるだけ新しく役員になった皆様に給与を払ったほうが法人は収支が0となり法人税を払う必要がなくなります。ただし法人には法人事業税を払う必要があり、約7万円前後の税金がかかります。
 

​以上が法人成りのやりかたです。
ではこの法人なりについてのメリット・デメリットについて説明します。

不動産賃貸事業の法人化のメリット・デメリット

個人で賃貸事業を営んでいるオーナー様が会社を設立し、その会社へ賃貸建物を譲渡して事業を営む手法(法人化)が増えてきました。今回は法人化のメリットとデメリットについてお話をしていきます。

法人化が節税対策になる

まずはメリットから見ていきましょう。

メリット1 所得税が節税できる

賃貸事業を法人化する最大のメリットは、毎年の所得税や住民税の節税が見込めることです。個人事業主の所得税は超過累進税率で、所得が増えるほど税率も上がります。ところが、法人税は比例税率であり、どんなに売上が計上されても税率は変わりません。

また、近年、諸外国との競争の観点から会社の法人税は優遇され始めてきています。一方で、個人の所得税は上がる傾向にあります。したがって、不動産賃貸業の所得が上がると、個人で事業を行うより、会社を設立して所得を分散させた方が税金を抑えられるのです。会社設立費用や設立後のランニングコストを加えると、一般的には、課税所得が800~1000万円以上であれば法人化した方が有利になるといえます。

所得税率と法人税率の比較表
所得税 税率 法人税 税率
195万円以下 5% ・所得金額800万円以下の中小法人 15%
195万円超〜330万円以下 10%
330万円超〜695万円以下 20%
695万円超〜900万円以下 23%
900万円超〜1,800万円以下 33% ・中小法人で年間所得800万円を超えた部分
・普通法人
23.2%
1,800万円超〜4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%
ポイント

オーナー様の家族(配偶者や子など)を会社の役員にして役員報酬を分散支給すると、それぞれ給与所得控除が使えることから、節税効果がさらに大きくなります。

メリット2 相続税も節税になる

個人で賃貸事業を行う場合、毎年の所得は個人の財産として蓄積され、将来は相続財産として相続税の課税対象となります。法人を設立して、この所得を役員報酬という形で家族に分散することで、オーナー様の個人財産の増加を抑えられるのです。

また、将来の相続人である子は、これにより財産が形成できるため、相続税の納税資金として蓄えられます。

メリット3 経費化の選択肢が多くなる

会社であれば様々な税金対策が可能になります。例えば、役員が個人で契約している掛け捨ての定期保険や医療保険です。会社でこれらに加入すれば、掛け金は全額会社の経費にできます。  また、中小企業基盤整備機構の「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」の掛け金は全額経費となります。最高で800万円まで積み立てることができ、40カ月以上加入すれば、解約時に掛け金が全額戻ってきます。その解約返戻金は全額益金となりますが、うまく使えば経費を平準化し、利益を繰り延べることが可能です。

一方で、デメリットについても見ていきましょう。

デメリット1 会社設立費用がかかる

株式会社で25万円~30万円程度の費用、合同会社で10万円~15万円程度の費用がかかります。

デメリット2 運営費用がかかる

会社の法人税申告は個人よりも必要な帳簿の記載事項が多く、内容もより詳細なものが要求されます。その結果、税理士などへ依頼した場合は、費用がかかってきます。また会社は、赤字の年であっても「均等割」という地方税が課税されます。

デメリット3 不動産を移転する時は、不動産取得税などの負担がある

会社を設立して個人所有の賃貸不動産を会社に移転する場合、不動産取得税や所有権移転登記をする際に登録免許税がかかります。

ポイント

このほか司法書士に登記を依頼する場合は、別途費用がかかります。

デメリット4 税務署の調査率が高い 

所得税や法人税の申告をすると、その内容について税務調査が行われることがありますが、個人よりも法人の方が調査率は高めです。

デメリット5 社会保険への加入が必要になる

会社の場合、社長1人であっても役員報酬を支払えば社会保険に強制加入となります。支払った役員報酬の約30%(会社と役員または従業員で折半)が社会保険料となるため、負担は決して少なくありません。
当社では、提携の税理士と共にオーナー様の将来の税金(所得税・相続税など)のシミュレーションを実施し、かかるコストを考慮した上で、会社設立のメリットの有無を判断しています。まずは、お気軽にご相談ください。
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